1974年に公開されたホラー映画「悪魔のいけにえ」は、人皮製のマスクを被った殺人鬼レザーフェイスに襲われる恐怖を描き、世界的に人気となった映画です。
そんな恐ろしい映画「悪魔のいけにえ」は実話から作られたと聞きますが、それは本当なのか、殺人鬼レザーフェイスのモデルとなった人物は誰なのか、まとめて語っていきます。

47年も続いている人気ホラー映画「悪魔のいけにえ」の裏側を覗いてみましょう。
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映画「悪魔のいけにえ」とは?
「悪魔のいけにえ」とは、チェーンソーを持ちながら人をぶった切っていく殺人鬼「レザーフェイス」というホラーキャラを生み出したスプラッター・ホラー映画です。
1974年公開の「悪魔のいけにえ」を皮切りに、世界的に大ヒットを記録し、リメイクを含めて、およそ50年近くシリーズが続いています。
「悪魔のいけにえ」映画は実話の事件を映画化したって本当?
チェーンソーを手にして、叫びながら走って来る巨漢のレザーフェイス。
今見てもぞっとするビジュアルな姿をしたレザーフェイスは、旅行者を拉致して身体を切り刻み、人肉ソーセージにして、バーベキューパーティーを開いたサイコパス殺人鬼です。
また、映画界にスラッシャームービーのジャンルを残した代表的なヴィランでもあります。
そんなレザーフェイスは、実在殺人鬼エドワード・ゲインを基に描かれています。



エドワード・ゲインは、女性を拉致して殺害行為を行っただけでなく、人喰いまでしたサイコパスで、何よりも最も恐ろしいことは、遺体の皮を剥いてそれを身に付けたということです。
「悪魔のいけにえ」は実在連続殺人鬼エドワード・ゲインをモチーフに、物語が全体実話というわけではなく、フィクションとして少し調整されました。
但し、エドワード・ゲインの殺害行為は、レザーフェイスに劣らないほど猟奇的なことで知られています。
「悪魔のいけにえ」映画のモデルになった実話の事件とは?
エドワード・ゲインは、アメリカの連続殺人鬼で、”エディ・ゲイン”と呼ばれていました。
エドワード・ゲインは1957年11月16日に殺人容疑で逮捕され、裁判では「精神的無能力者」と判決されます。
その後は精神病院で過ごすものの、癌によって1984年7月26日に満77歳で死亡しました。
1906年8月27日にアメリカのウィスコンシン州で生まれたエドワードは、母親から性に対してとても厳格的な教育を受けながら育ちました。
エドワードには、1901年生まれのヘンリーという兄がいましたが、母親の行動に反感を持った兄は1944年にエドワードと一緒に所有していた敷地の雑草を燃やす途中に失踪。
そして、43歳の若さで死亡したまま発見されました。



兄は、公式的には窒息で死亡したと結論付けられましたが、発見当時に頭に穴があったとされ、ミステリアスな死因となっています。
1945年には母親が67歳で老衰による心臓マヒで他界。
家族がいなくなったエドワードは政府の支援金を受けて他人の家事を手伝いながら、人里離れた一軒家で一人暮らしをしていました。
しかし、この時から彼はオカルトとカーニバリズムに関心を持ち出し、お墓から死体を掘り起こして奇異な行動を取り始めました。
彼が犯した最初の殺人は、1954年のメアリー・ホーガン殺害事件でした。
エドワードが起訴されたのは、1957年のウォーデン夫人殺害容疑でしたが、ウォーデン夫人は22口径の小銃に被弾して死亡した状態で発見されました。
納屋には切られた彼女の頭、さらに内臓が引き出された状態で逆さまにぶら下がっていたのです。



捜索令状を持って、エドワードの家に入ってきた警察官が見たものは次の通りでした。
- 鼻4つ
- 完全な骨格と破損した骨が多数
- 人間皮革のマスク9個
- 頭蓋骨で作った器が多数
- 頭の上の部分が鋸で切られた女の頭10本
- 人間の皮で出来た椅子カバーが多数
- 紙袋にメアリー∙ホーガンの頭部
- 靴箱の中に女性の性器9個
- ベッドの柱に頭蓋骨が多数
- 冷蔵庫に人間の臓器が多数
- 窓のブラインドに唇1個
- 乳首帯
- 顔の皮で出来た電灯の笠
庭からは10体ぐらいの遺体も出て来ており、最も猟奇的なのは、エドワードは女性の皮、骨、身体の部分を使って服やアクセサリーなどを作り、それを被っていたのです。
顔や性器など身体の大部分を自分の身体に付けて夜に家の周辺を散歩したり、満月の時はこのような状態で太鼓を叩いたり踊ったりしており、カーニバリズムと関連した儀式を行っていました。
このような彼の行動は、映画でも描写がみられます。
おまけに、フライパンで心臓を焼くなど、人喰いをした痕跡も発見されました。



中年女性を主に狙ったエドワードは母親による女性に対しての厳格な教育によって、トラウマと精神病が重なって犯行をすることになったのです。
映画「悪魔のいけにえ」の殺人鬼「レザーフェイス」の正体は何者?
「悪魔のいけにえ」シリーズに登場する殺人鬼で、1938年生まれ、の名はパパ・ソーヤー。
テキサスの田舎の農家食人種家族の一員であり、人の顔の皮で作った仮面を被っています。



全シリーズを通して屠殺業者のような服装をしており、「悪魔のいけにえ」(1974)と「悪魔のいけにえ2」(1986)ではスーツ姿も見せました。
人間と動物の骨をコレクションしており、象徴的な武器であるチェーンソーと牛を捕るのに使われる大きな金槌、そして鉄斧と鉄の鉤、串、携帯用の丸鋸などが主な殺戮道具となっています。
大きなチェーンソーを乱暴にはびながら犠牲者を追いかけて屠殺するといったキャラクターで、走る速度自体はそれほど速くはないものの、巨漢であるにもかかわらず、走り疲れるような描写は見られません。
“革の顔”という意味の”レザーフェイス”は、家族に呼ばれる一種の愛称で、それぞれの作品で描写されている外見と性格に大きな違いがあり、それによって本名もそれぞれ異なっています。



シリーズによって家族構成員も変わっていますが、レザーフェイスは家族で末っ子に固定されています。
「悪魔のいけにえ」(1974)では、太陽の光に長時間乾かしたような皮膚の皮を仮面として使っており、作中では3つの服装で出て来ます。
序盤には、短い黒いくせ毛に紺色のネクタイと黄色いエプロンを着た屠殺者の服装をした姿で、中盤には、灰色のパーマのかつらと多彩な円形の模様が刻まれたエプロンをした老婆らしい姿。
そして後盤では、黒いスーツと化粧をした人肌の仮面を被った姿で登場しています。



この姿に、ファンから順に、”殺人者(Killer)”、”老婆(Old Woman)”、”可愛い人(Pretty Lady)”という異名で呼ばれています。
「悪魔のいけにえ」(1974)と「悪魔のいけにえ3 レザーフェイス逆襲」(1990)の姿は、各種のメディアで”レザーフェイス”の代表的な姿として紹介されています。
映画「悪魔のいけにえ」の実在殺人鬼をモデルにした映画は他にもあった
1.「サイコ」(1960)
とあるモーテルを舞台に、連続して起こる奇妙な殺人事件を描いたホラー映画。
仮面を被った殺人鬼に襲われるようなスラッシャーではなく、サイコパス人間に襲われる恐怖を描いています。
このサイコパス人間がエドワード・ゲインをモチーフに描いているため、どこかしら似ているような雰囲気が感じ取れます。
異常な性格や行動、驚愕な真実などが盛り込まれており、ホラー映画の最高傑作と呼ばれています。
2.「羊たちの沈黙」(1991)
アカデミー賞主要5部門を獲得した大ヒット映画。
大柄女性を殺しては生皮を剥ぐバッファロー・ビル事件の犯人逮捕のため、残酷な手口で人を殺して人肉を喰らったレクター博士にアドバイスを求めるFBI捜査官見習いのクラリスと彼の奇妙な関係を描いたサスペンス。



プロファイリングなど、新しいジャンルを切り開いたホラーサスペンスとしても話題に。
レクター博士演じたアンソニー・ホプキンスは、恐ろしい人喰い殺人鬼のイメージが当時から現在まで取り除かれないほど、強烈な演技を見せました。
ただ、単純なサイコサスペンスとしてだけではなく、深い哲学的なテーマを持った映画でも知られています。
3.「エド・ゲイン」(2000)
人喰い殺人鬼エドワード・ゲインの生涯を描いた映画。
これまで紹介した作品とは異なり、エドワード自身がが一体どんな幼少期を過ごしたのか、殺人鬼になった過程をしっかり描き出しています。



そのため、ホラーではなく、グロい描写があるわけでもありません。
エドワード・ゲインという殺人鬼の性格や、彼の生い立ちに焦点を当てています。
映画「悪魔のいけにえ」は実話??モデルになった事件と殺人鬼:まとめ
「悪魔のいけにえ」は、実在殺人鬼エドワード・ゲインを基に描かれたレザーフェイスに襲われるフィクションのスラッシャームービーです。
”この映画が実話に基づいており、アメリカの歴史の中で最も奇妙な犯罪の1つである”
と、映画の冒頭のナレーションにあるように、作り話のホラー映画よりは、現実味のあるホラー映画だということが分かります。



実在殺人鬼を描いた「悪魔のいけにえ」シリーズを見ることによって、今まで経験し得なかった恐怖が味わえるのではないでしょうか。